私と父とハーマンミラー(2)
こんにちは。筆者のタロショーです。
前回の続編
私と父とハーマンミラー(2)
父はどちらかといえば倹約家です。とは言ってもケチではないです。変なところはケチなのですが。(笑)
ハーマンミラーの家具を買い揃える時も、車を買い替えるのを6年先延ばしにして、家具の総額は当時予定していた車1台分までと決めていました。
そんな父が悩みに悩んでまず手放すことにしたのはシェルチェア2脚とアームシェルチェア2脚でした。シェルの色もベースの種類もそれぞれみんな違います。
長年ずっとリビングに並べて置いてあるけど、硬くて誰も好んで座らずダイニングの椅子として使うわけでもない。父も眺めるだけで”尻が痛い”と言って座らないのに何故4脚も購入したのか。私も不思議に思っていました。
聞けば購入当時、父の頭の中には将来こういう空間でこういう使い方をしたいんだという先走った見通しがあったみたいですが、それを叶える為には家を建て替えなければならず今ではもう、それは叶わぬ夢だと諦めたようです。
父と私で4脚全てピカピカに磨き込んだ後、
「お前、これ頼むよ。全て任せるから」
と、私に4脚の椅子の処遇を丸投げしてきました。
「なんで?」
と思いながらも理由は聞きませんでしたが、多分、自分で直接お別れするのが嫌だったのでしょう。とても大事にしてましたから。
私は了承して行動を開始。どうするか悩みましたが、こういうのはなるべく早く進めて解決してしまった方がいいと思い、4脚全てをお金に変えました。それが一番早いし後腐れなくていいのかなと、そうしたのです。
そのお金を父に渡そうとしましたが、
「お前の将来に必要なものの足しにしろ」
と言って受け取りませんでした。なんだか、”俺の大事なものを売ったお金なんだからちゃんと生きた使い方しろよ”と言われてるような気がしましたが、
私はそれを青ヶ島(伊豆諸島に属する離島)の旅行代金に充てました。
↑今思うと罪悪感。(笑)
長年あった存在感ある椅子たちが無くなって、少し広くなったリビングは、シェルチェアたちが担っていたポップで若々しい感じが消えて、とても落ち着いた雰囲気に変わりました。動線も改善されたし、季節家電を置く余裕も出来ました。
私の部屋にロッキングベースのアームシェルチェア1脚だけでも残そうか悩んだのですが、いつも通りアーロンチェアにばかり座ってしまうだろうなと思ってやめておきました。
デザインは良いけど使わないもの。
デザインは悪いけどよく使うもの。
我が家の中でシェルチェアは前者に該当してしまいました。家でくつろぐ時にこの椅子に座っても、長時間リラックス出来ないので無意識に避けていたのだと思います。脳と身体は正直です。
その日の夜、空いたスペースで父と母は私が小学生の時に作った柔らかい綿のボールを取り出してきて、楽しそうにキャッチボールを始めました。次第にノーコンの母がボールを家具や照明に何度もぶつけまくって父が怒り出しました。
続く。