私と父とハーマンミラー(4)

こんにちは。筆者のタロショーです。

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ESU


我が家のリビングにはイームズのストレージユニット、ESUが数台並んでいます。父がこの世で一番好きな収納家具です。

動線的に日常よく使うものが収納されている玄関近くのESUの塗装面には、無数の傷跡が残っています。これ全て今までに母が付けたものです。そして、父が新しい傷を見つける度に怒るのですが「それが味でしょ」と母が返します。父はすぐにワックスを取り出して懸命に磨くのですが、艶が出るばかりで傷は全く無くなりません。こんなことが何度も繰り返され、今では母も気をつけてくれるようになりました。(笑)

 

ある日、このダサい家の点検に来た工務店の社長が、平然と電動ドライバーをそのままESUの塗装面に直置きました。父はその時、激怒して説教していましたが、興味のない人にはそんなものなのでしょう。

 

父は、私が知る限り所有してる家具のことを誰からも褒められたことがありませんし、関心を持たれたこともありません。(笑)

そして自分から誰かに家具のことを話すこともしません。自己満足だし、それでいいんだそうです。唯一、父が家具の話を楽しそうにする相手は、いつも修理でお世話になっている家具職人さんだけです。

 

さて、そんな父は次に何を手放すのか。2脚あるイームズのLCWという椅子、そのどちらか1脚を手放すことに決めたようです。

この椅子もまた、長いこと我が家のリビングに鎮座していますが、シェルチェアと同じでほとんど座られていません。金具のある衣類で座ると塗装に傷が付くからと父がうるさいので、シェルチェア以上に誰も座りません。それでも母が好きな居場所であるソファの近くに置いてあるため、クッションやブランケット置き場として活躍しています。(これが案外便利なのです。)

 

それと、その横に置いてあるネルソンの小さなペデスタルテーブルも一緒に手放すことにしたようです。

私は”椅子はいいけど、このテーブルは便利だし残そうよ”と止めたのですが、

父は「ここは店じゃなくて家なんだよ」みたいなことを言い出して聞き入れません。

結局、LCWは母が掃除機をぶつけて傷を付けたほうを残すことに決め、ペデスタルテーブルがあった場所にはイームズウォールナットスツールを置くことにしました。そして「多分、ハーマンミラーを手放すのはこれで最後だ。今回も任せるわ」と私に頼んできました。

 

私はいつものように、それらをまたお金に換えました。父は予想通り今回もそのお金を受け取りませんでしたけど「お前、きちんと考えて使ってるんだろうな?」と聞いてきました。もちろん、考えて使っているよと感謝の気持ちを伝えて、北海道の旅行代金に充てました。父のプライスを私のプライスレスにするために。

 

何も言いませんが父は、私が毎回、売上金を旅行代金に充てていたことを知っていたと思います。高1の時から友人達と八丈島など遠くに旅行することを許してくれている父と母は、それを生きたお金の使い方だと思ってくれてるようです。(とはいえ色々と小言は言われますが笑。)

 

毎回、友人と一緒にテントと釣竿持って、半分自給自足のような貧乏旅行を好んでする私の土産話を楽しみにしてくれてます。

続く。